Keep It Hazy / キピヘイジ

Son of the Smith Hard Cider / サノバスミス
スタイルCider / サイダー - Cider / サイダー
ABV7.5%
IBU-

4.3★★★★☆

LOT: KH-2110A October, 2021

Spec
Style:ダブルニューイングランドスタイルホップサイダー/ Double New England style hopped cider
ALC: 7.5%
Apples: フジ、グラニースミス
Yeast: Wild yeast, Lactobacillus, Liquid beer yeasts
Blending: Red wine barrel fermentation
Hop: Fresh hop lupulin powder (Homegrown Cascade), Aging hop (Super alpha hop cultivar)

Story
サノバスミスSP キピヘイジは、年に1度の特別醸造を施す「SP」ライン。じっくりと仕込んだこの贅沢なダブルニューイングランドスタイルホップサイダーは、リンゴとホップ、畑の実りへの感謝を表現します。
前作とは全く異なる設計により完成した今年のキピヘイジは、グラニースミスの活用、木樽発酵と多段階発酵のブレンド、フレッシュホップルプリンパウダー・熟成ホップの追投入など、原材料面と醸造技術面の双方でアップデートを行いました。
四季から採取した農産物の融合体であるキピヘイジのシャープな飲み口・気高い香り・じっくり続く余韻は、Farm to Cheersをしっかりと感じさせてくれる仕上がりとなっています。
Hazyは繰り返す季節に霞むモヤ。まだまだ見えないこの道の到達点。道のりの先は霞がかっているけれど、その一歩一歩をしっかりと踏みしめながらずっと続けていく手探りの冒険。毎年、季節を繰り返しながら、2度と同じ環境条件が揃わない中でベストを尽くすべく自然に対峙し続ける農業の姿。
先が見えないからこそ、溢れ出る好奇心と心躍らせるビートに乗っかって、日々の徒然を丁寧に味わっていく。
たまには力を抜いて、Keep it easy, Keep it hazy。

Brewer's Note
今年のキピヘイジは、前作とは全く異なる複雑な工程により生まれ変わりました。
赤ワイン樽へ搾汁したリンゴ果汁を投入し野生酵母による発酵を行った木樽発酵の原酒(A)、乳酸発酵と複数のビール酵母を織り交ぜて多段階発酵させた原酒(B)を、ステンレスタンクでブレンド。
市販酵母は元来、野生酵母から単離して拡大培養をかけたものであり、市販酵母を複数組み合わせてSTA1(Negative→Positive) 順に投入することで、野生酵母のような複数酵母による発酵を醸造家の手でコントロールできるのではないかという仮説を試みました。
ここに、自社圃場産フレッシュホップ(カスケード種)から精製したルプリンパウダー(フレッシュな苦み)とHOPPER THAN JULYでも実証した知見である熟成ホップ(舌にまとわりつく渋み)を加えることで、赤ワイン樽による非フラボノイド系(エラグ酸・ガリック酸)タンニンの前後において余韻の長さを調整することに成功しました。

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LOT: KH-2010A October, 2020

Spec
Style:ダブルニューイングランドスタイルホップサイダー/ Double New England style hopped cider
ALC: 7.5%
Apples: シナノリップ、浅間クチーナ、ブラムリー
Yeast: K701(Japanese sake yeast)
With: Homegrown Cascade and Nugget, American Hop

Story
「サノバスミスSP キピヘイジ」は、特別醸造を施す「SP」ラインの1作目。果物を丸かじりした時のような、ジューシーな味わいが特徴のDouble New England style hopped ciderです。
バーボン樽から抽出した渋みと深みを下地として、リンゴ品種由来の酸味と果実味に、日本酒造に欠かせない「きょうかい701号酵母」由来の華やかで繊細な香りと、ホップの柑橘味・植物感を溶け込ませました。時間の経過や温度によって変化する、複雑な香りのレイヤーや風味が楽しめます。
Hazy、すなわち霞。
先が見えないこの道のりで、一歩一歩を踏みしめるように続ける探求の日々。
同じ条件は二度と揃わない、厳しい自然環境と対峙し続ける農業。
豊作と安寧への祈り、自然への畏怖はどんな時もこの胸に。
けれども好奇心と心躍るbeatsに乗っかって、日々を丁寧に味わうことも忘れたくない。
だから、たまには力を抜いて、Keep it easy, Keep it hazy。

Brewer's Note
本バッチを解説する上で重要なポイントは「醸造用タンニン」、「Late Harvest」、「唾液分泌」、「Keep it Warm」の4点です。
どうぞゆっくりと確かめるようにお召し上がりください。

■「醸造用タンニン」は酸化防止の役割を果たす
“醸造用タンニンの主な供給源は、リンゴ(プロシアニジン類)とオーク材(エラグ酸、ガリック酸等)の2つであり、渋さ、熟成において酸化を防ぐという重要な役割も持っている。” (1)
今回の作品では、バーボン樽熟成で獲得したオーク由来のタンニンによって液全体が酸化から保護されています。

■「Late Harvest」の遅摘みホップで、フローラルな香りを強化する
レイトハーヴェストとは、収穫時期を遅らせる行為のこと。“遅摘みホップのカスケードは、メロンやフローラルな香りが強化される。” (2) 
収穫時期を操作できるのは自社栽培の強みですよね。そんなサノバスミス好みのカスケードをふんだんにダブルドライホップし、フローラルなアロマと共に畑を感じさせる香りに仕上げました。

■「唾液分泌」とタンニンの関係性
ベースとなるリンゴは酸味の強い品種。酸っぱい香りは唾液分泌を促進します。唾液とタンニンは舌上で結合し、離れたときに渋みを認知するので、唾液分泌が多いとタンニンをより感じやすくなります。また、唾液は食欲増進作用があるので、本作品は食前酒にぴったりです。

■「Keep it Warm」、 飲み頃の温度帯
冷蔵温度帯からスタートして、その飲み頃は16℃~20℃付近です。この時に、ホップに隠れていた樽香が徐々に姿を現します。
香味:唾液を出す、酸味・甘味を想起する畑の香り。ホップ香に潜む樽香を少しずつ体感。
苦味:遅摘みカスケードでフローラルな柑橘系の苦みと畑を体感。
酸味:リンゴ由来の酸味で口内洗浄。唾液分泌でタンニンへの感度を上げる。
残香:ホップ、りんご、日本酒酵母、バーボン樽が混ざった香水のよう。

<参考文献>
(1) A. Versari, W. du Toit, G.P. Parpinello. Oenological tannins: a review. Australian Journal of Grape and Wine Research. 2012, 19, 1−10. doi: 10.1111/ajgw.12002
(2) Sharp, D. C., Townsend, M. S., Qian, Y., & Shellhammer, T. H. Effect of Harvest Maturity on the Chemical Composition of Cascade and Willamette Hops. Journal of the American Society of Brewing Chemists. 2014, 72(4), 231−238. doi:10.1094/ASBCJ-2014-1002-01

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