Green Detox / グリーン デトックス

別府ブルワリー / Beppu Brewery
スタイルサワー - Sour / サワー
ABV4.0%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

キュウリを使ったサワーエール。ヘッドブルワーがアメリカで出会い感動したビールを再現。キュウリ由来と思えないメロンのような香りと、しっかりした酸味が疲れや暑さを吹き飛ばします。イロモノとは呼ばせません。

ベースとなるモルトはシンプルに抑え、スムースさを残すために小麦を1/4ほど使用。ホップは酸味と合わせるためにCitraをビタリング・アロマ両方に控えめに使用しました。キュウリは青臭さを避けるために、皮を剥き、中の部分だけを発酵後に投入し、香りのバランスを確かめながら投入量を調整しました。

仕込はKettle Sourという一晩仕込み釜/Brew Kettleで乳酸菌発酵を行い、ベースとなる麦汁に酸味を出させてから、再度煮沸殺菌・アルコール発酵させる2段階の発酵ステップを踏みました。Beppu Breweryで初めてのKettle Sourということもあり、ヘッドブルワーは一人醸造所で徹夜し、定期的に発酵の様子を見ながら過ごしました。これにより私たちが求めていた酸味にぴったりとハマるサワーエールを実現しました。

テイスティングとしてはメロンを中心としたウリの香りに、ハチミツのようなモルトキャラクター。バックにはレモンやライムのホップアロマが酸味と合わさって出てきます。しっかりとした酸味とドライでライトなボディは、ジメジメして暑い気候にばっちり。

初めてのサワーエールなのになぜキュウリ?なぜKettle Sour?と皆さまお思いになるかと思います。自分でも確かに攻めたかなと思いつつ、今回のサワーエールにはそれなりの思い入れがあることをお伝えしなければなりません。

去年の夏にヘッドブルワーがアメリカでインターンをしていたOakshire Brewingでは、Shift Pintと呼ばれるタップルームで1日1パイントが無料で飲める従業員向けのお疲れビール的な制度がありました(言葉的に働いた日だけかと思いきや、働いていない日でもOK。さらに従業員の家族もOKという懐の深さ!)。私もここぞとばかりにほとんど毎日欠かさず通って飲んでいました。制度的には、従業員へのねぎらいの意味もありますが、自分たちが作っている・売っているビールをよく知るためのとても良い制度で、Beppu Breweryでも採用しています。その時に私が一番多く飲んだのが、"Sun Made Cucumber Sour"というキュウリを使ったサワーエール。最初は戸惑いながらも好奇心が勝った私が初めて飲んだとき、キュウリから想像ができないような香りと美味しさに衝撃を受けました。これキュウリなの?と思えるメロンのような香り。それにちょうど熱波が襲っていたオレゴン州内陸部の7月の熱い気候では、この酸味がたまらなく効いて、とにかく1日の肉体労働の疲れを吹き飛ばしてくれる存在でした。感動した私はOakshireのヘッドブルワーに聞くと、キュウリ以外は入っておらずキュウリだけの香りと味で、さらに1BBL(約117L)あたり1本しか入れていない!(ちなみに残念ながら日本のキュウリは小さいのでもう少し入ってます)。この時に私はこれを日本に持ち帰って再現し、日本の皆さんにキュウリとビールのポテンシャルを知って楽しんで欲しいとずっと思ってきました。

また、Kettle Sourを選んだのもちょっとした対抗心があるからです。そもそも酸っぱいビールを作るには、①酸っぱい副原料(パッションフルーツやレモン果汁など)を入れる、②イースト以外に酸を生成できる菌と一緒に発酵させる、③Kettle Sourをする、④酸を生成できるイーストを使用する、がざっくりとあります。①は一番簡単だけど汎用性は高くありません。②は伝統的なBerliner Weisseがそうですが、乳酸菌など他の菌を発酵タンクやケグに入れることは専用の施設・機材を持たないと他のビールにも移り、予期せぬ汚染の原因となります。③は②の汚染リスクを極力抑えられるよう菌を殺せる環境で使用するのにとどめるため、少しリスクがあるものの比較的安全です。④はここ数年で出来たLachanceaやPhilly Sourと呼ばれるイーストを使用する方法です。これが発酵中に乳酸を生成し酸っぱくしてくれるというリスクフリーかつ革新的に作業が楽になるイーストです。そのおかげか多くのブルワリーで使用され、このイーストを入手するのも困難な状態になっています。しかし、個人的に④には一つだけ欠点があります。それはイーストのキャラクターにバリエーションがないことです。スムージーサワーやサワーIPAのようにフルーツやホップでイーストキャラクターがそもそも出にくいビールなら良いのですが、シンプルにサワーエールを作るとどうしても似通ったビールが来てしまいます。そうすると様々な原材料を組み合わせて使うことができるクラフトビールの良さが減ってしまうような気がしてしまうのです。だからこそ、乳酸菌発酵後に自分の好きなイーストが使えて、さらに乳酸菌発酵によって生成される他のフレーバーが加わるKettle Sourが良いと思い、徹夜をしてでもKettle Sourを実行しました。

とても長くなりましたが、とにかくキュウリのビールをイロモノと思わずに皆さんに飲んで欲しいと思って作りました。仕込み当初は慣れていない日本人にキュウリだけは正直厳しいかなと、キュウリにレモンとミントを合わせるつもりでいました。しかし、キュウリを入れてからやはりこの魅力を感じてほしいとキュウリだけに振り切ることにしました。このジメジメし始めた梅雨から夏がベストシーズンです。ぜひキュウリワールドへ!

Green Detox | Sour Ale w/ Cucumber | 4.0%

ブルワリー

このブルワリーの他のビール

こちらのビールもおすすめ