#014 Take a Hop on the Wild Side / テイク ア ホップ オン ザ ワイルド サイド (Kadolabo))

伊勢角屋麦酒 / ISE KADOYA BREWERY
スタイルその他 - Saison / セゾン
ABV6.5%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

諸言
ホップ(Humulus lupulus)は、ビールの製造において香りや苦味を付与するために利用される植物の花である。ホップの雌花には、ビールの風味や香りに影響を与える成分であるホップオイルやビタミン類、アルファ酸が含まれており、これらが醸造過程で重要な役割を果たす。また、抗菌作用もあり、ビールの保存に寄与する。
ホップは北半球においては、8月から10月にかけて成熟し、収穫が行われる。近年、収穫されたてのフレッシュなホップを使用したビールの醸造が盛んに行われている。”Fresh Hop Beer”としてスタイルとして認定されたほどである。
このような本来Fresh Hop Beerは季節のビールであるはずだが、時を選ばずに作れる時代になりつつある。と言うのも、凍結技術の技術革新により、収穫したてのホップを乾燥させることなく凍結させ氷点下で流通させるFrozen Fresh Hopsが提供されるようになったからだ。超低温で保存しておけば、ホップの収穫期とは全く異なる冬や春にもFresh Hop Beerが作れてしまう。
さてKADOLABOでは、昨年10月に009 Fresh Hop IPA 2023 Amarilloをリリースした。私 山宮が9月に渡米し、持ち帰ったFreshly Kilned Amariloをして醸造したImperial IPAだ。
振りかえれば、もとより一度乾燥させたホップを使用しているので、生のホップのような瑞々しいキャラクターは期待はしていなかったが、ルプリンに由来するフルーティなキャラクターが投入量に比して、抽出できていなかったように感じている。原因は、ホップのコーンの分解が不十分で、ルプリンの溶出が少なかったことにあるのではないかと予想している。
今回のビール014 Take a Hop on the Wild Sideでは、その反省を踏まえて醸造を行った。使用したのは同時期に入手し、冷凍保存していたホップ。Breakside BreweryのFresh Hopの処理方法に忠実に習い、液体窒素で完全凍結させたホップホールコーンを粉砕し、ルプリンを完全に抽出させることを試みた。そして、ビールのホールホップの植物キャラクターとルプリンのキャラクターを合わせて向上させることができた。
Fresh Hopの文化は農業に根ざしている。アメリカのホップファームを訪問して、収穫の風景を目の当たりにしたことで、それが理解できた。
日本でビールを製造している多くの醸造所は、原材料を海外からの輸入に頼っている。日本の気候風土が原材料の栽培に向いていないことや、麦芽の製造企業が大手ビールの子会社のみであることなど、国内で自家原材料でビールを製造することのハードルは大きい。しかしながら、本当の意味でビールを作るために、原材料との距離を縮めていきたいと思っている。
そんな思いもあり、今回のビールはFarmhouse IPAをベースにした。自家生産しているのは酵母のみ。だけど、心はFarmhouseでありたいと思っている。せめてもの、いつかホップには自家栽培に取り組みたい。その時に向けて、原材料の取り扱いの研究を少しずつできる範囲で進めていくつもりだ。

方法
ISEKADOで醸造したビール Farmhouse IPA strain BOKEを原酒に液体窒素で凍結粉砕した2023年産 Azacca Whole ConeとStrata Baleを10g/Lずつドライホップし、完成させた。

#014 Take a Hop on the Wild Side
スタイル:Dry hopped Saison
モルト: Pilsner, Wheat Malt, Rye Malt, Oat, Wheat
ホップ: Citra, Centennial, Azacca Whole Cone, Strata Bale
酵⺟: BOKE
副原料: Sugar
ABV:6.5%

ブルワリー

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