歴史 / History

京都醸造 / KYOTO BREWING CO.
スタイルその他エール - Scotch Ale / スコッチエール
ABV8.5%
IBU10.0

0.0☆☆☆☆☆

10周年を記念して造った伊予柑ピールとオークのウッドチップが香るアニバーサリーエール

【味わいの特徴】
オールドファッションドというカクテルに着想を得た、伊予柑ピールの柑橘香とオークのウッドチップが生むバニラのような芳香が漂うスコッチエール。キャラメルを思わせるリッチなフレーバーに柑橘香がうまく調和し、燻製したオークの得も言われぬ香りがちょっと大人な雰囲気を演出する特別な一杯。

【相性の良い食事】
雉のムースとスパイス薫るイチジクのコンポート、牛バラ肉のビール煮込み、コンテチーズのカリカリチップス、ラムの効いたババ

【名前の由来】
操業10周年を記念して造ったビールに、すこし仰々しい感じもするが、「歴史」という名前をつけた。創業百年を超える企業がそこかしこにある京都においては特に、10年という月日はまだベンチャーと呼ばれる部類なのかもしれない。しかし、私たちにとっては山あり谷あり、激流もあればコロナもあったこの10年はひとことでは語りつくせないほどに濃密な時間でした。そんなことから古くからの親友ルークと京都醸造のマイルストーンになるようなビールをという思いで造ったのが、この「歴史」です。

【醸造家の声】
記念になるような特別なビールを造るというのは、なかなか難しいものです。記念の一杯ですので、非日常感を感じられるような特別なものにしたいという反面、普段から実験的でクレイジーなビールを造っている最近の私たちにおいては、なおさら何が特別なのかと考え始め、どんどん難しくなっていきます。

私たち京都醸造が10周年を迎えるにあたり、造られるこのビールでは一旦原点に立ち返ることにしました。そして、ブルワリー設立に欠かせなかった人物の一人、カナダ・トロントにあるGodspeed Breweryのオーナー兼ヘッドブルワーであるルークに声をかけました。ルークは、京都醸造が会社として始まる前からの知り合いで、要所要所で的確なアドバイスをたくさんくれた人物であり、一番最初の仕込みにも助っ人で来てくれた古くからの仲間です。(詳しくはブログ記事にて)

では、そんな彼と造る特別なビールとは?
まず、これまでに誰もやったことのない、新しくてユニークなものであり、しっかりとインパクトがあるものにしたいと考えました。

何度も話し合いを重ねた結果、あるカクテルからインスピレーションを得たビールを考案しました。それは「スモークド(燻煙)カクテル」の技法です。これはカクテルをグラスに注ぐ前にグラスにスモークを充満させ、軽いスモーキーさをカクテルにまとわせるという手法で、風味に奥行きを加え、最後までじんわりと余韻を残す香りを生み出します。

もちろん、ビールを一杯ずつスモークを満たしたグラスで仕上げるわけにはいかないので、私たちはこのアイデアをそっくりそのまま製造工程に入れ込み、再現することにしました。そう、ビールが入る前の2000リットルのタンク全体をスモークで満たすことにしたのです!

アイデアの元となったカクテルというのは「オールド・ファッションド」と呼ばれるもので、ウイスキーをベースに、ビターズ(リキュール)と砂糖、そしてオレンジピールが使われます。しかし、このビールでは、オレンジの代わりに和歌山産の伊予柑のピールを使いました。このカクテルは、スモークとの相性も良く、ピールに火をつけて香りを立たせる手法とも相性抜群です。

ビールのベースはダークフルーツやカラメルの風味を表現するモルトをブレンドして構成し、そこにライ麦麦芽も加えることで、ウイスキーのようなスパイス感と甘みを引き出しました。ホップは、イギリスのEast Kent Goldingsを控えめに使い、ビールの味わいを安定させる役割にとどめています。そして、よりまったりとしたキャラメル感が引きだせるように約3時間という長時間煮沸を行いました。

仕上げには、伊予柑のピールを甘い香りを引き立てるためにキャラメリゼしたものと「グレインズ・オブ・パラダイス(楽園の穀物)」という異名をもつギニアショウガを煮沸終了時に加え、アクセントとなる柑橘とスパイス感でこのビールの個性を固めます。

そして、いよいよ“クレイジー”で“楽しい”工程へ。ビールをBBT(ブライトビールタンク)に送りこむ前に、タンクの中にオークのウッドチップを設置し、軽くCO₂で満たします。その状態でウッドチップに火をつけ、タンクを密閉状態に。酸素が燃焼されていき、やがて酸素が尽きると火は消え、代わりにウッドチップが燻された煙でタンク内が満たされます。

その状態のタンクにビールを注ぎ込むことで、スモーキーな風味がビールに移ります。そして焦げたオークチップの上でビールを熟成させることで、やわらかなバニラ香やオークのニュアンスも加わり、うっとりするようなフレーバーをもったビールが出来上がります。

BBTの中に火を入れて、そのスモークを使ってビールを造った醸造所はほとんどないと言えるでしょう。そういうことでも、このビールは歴史的にユニークで、10年目という節目にふさわしい特別なビール、まさに祝杯のための最高の一杯になりました。

スタイル
アニバーサリーエール
シリーズ
京都醸造10周年記念醸造
ABV
8.5%
IBU
10
ガスボリューム
2.5
副原料
伊予柑ピール、黒糖、ウッドチップ、ギニアショウガ
品目
発泡酒

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京都醸造10周年記念イベント「なみなみと」にむけた2つの記念醸造ビールのひとつは二次発酵を施したホッピーピルス「なみなみと」、もうひとつは私たちにとって特別な存在である人と一緒に仕込んだアニバーサリーエール「歴史」。

以下ブログより抜粋

「歴史(History)」と名付けたアニバーサリーエール。
これは、私たちがこの10年間にわたってビールを造り続けてきた歩みを象徴するビールであるだけでなく、長年の親友であるGodspeedのルーク(Luc Lafontaine) との深い親交を表現したものでもあります。
〜〜
セレブレーション・ブリュー(お祝いの一杯を造る):
この「セレブレーション・ブリュー」のアイデアについて、ジェームズは以前ルークと行ったコラボで取り上げた「スモーク(煙)」というテーマを、さらに一歩進めたものにしたいと考えていました。

そしてインスピレーションの元となったのはカクテル——それも「オールド・ファッションド」という、ウイスキーにビターズ(リキュール)と砂糖、そしてオレンジピールを加えたシンプルで力強いカクテル。ジェームズは、このカクテルが持つ“火”や“煙”のようなニュアンスを周年ビールに取り入れたいと考えました。

このジェームズのアイデアをルークに説明すると、彼の顔には自然と笑みが浮かび、あの黙々人の時の楽しい時間の再来を予感したかのように見えました。そして「オールド・ファッションド」の世界観を最もよく表現できるビアスタイルを考えた結果、「ウィーヘビー(Wee Heavy)」というスコットランド発祥で、豊かなモルト感と複雑な風味が特徴のビアスタイルを選びました。ルークがこのスタイルを醸すのは何年ぶりかでしたが、意気揚々と袖をまくり上げ、ジェームズと共にそれぞれの醸造経験をふんだんに掛け合わせたレシピに仕上げました。

炭酸を加えるためのステンレスタンクにビールを入れる前に、まずオークチップを敷き詰めて設置し、CO₂を使ってタンク内の酸素をある程度除去しました。そしてその木片に火をつけ、すぐにタンクを密閉。燃焼により残った酸素が消費されると火は徐々に消えていき、その後、木が燻されはじめます。結果的に、タンク内はスモークチャンバー(燻製器)となり、その中にビールを注ぎ込むことで、スモーキーな香りを移すことができるのです。

さらに、ビールはそのまま焦げたウッドチップの上で寝かされ、その間に柔らかいバニラ香やオークのニュアンスも加わり、うっとりとするような芳香が叶うのです。これまでにビールのタンク内で火を焚いた醸造所があるのかは分かりませんが、この珍しくユニークな手法で生まれた独特なキャラクターは、このビールを非常に特別なものにしています。まさに、これまでもこれからも探究する心を止めないという契機になる10年目にふさわしい一杯となりました。

京都醸造の歴史は親友ルークとの歴史でもあり、この創業以来の大きな歴史的フェスティバル当日に皆さんとこのアニバーサリーエールで祝杯をあげることを楽しみにしています!

ブルワリー

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