Hefeweizen / ヘーフェヴァイツェン

CRAFT BEER BASE Brewing Lab / クラフトビアベース
スタイルWheat / ウィート - Weizen / ヴァイツェン
ABV5.0%
IBU10.0

0.0☆☆☆☆☆

ヴァイツェン特有のバナナ香が際立ちつつ、飲み口あっさり目の小麦ビール。
Easy to drink wheat ale with distinctive banana aroma.

CRAFT BEER BASEでは2023年、ビールの4大発祥国を順次特
集する。9~11月のテーマはドイツだ。醸造部からもドイツ発祥のビアスタイルを幾つかリリースする。
今回のリリースはヘーフェヴァイツェン。ビール醸造で通常使用される大麦麦芽のうち、50%以上を小麦麦芽に置き換えたビアスタイルだ。小麦のタンパク質や酵母の特性による濁った外観が特徴である。ヘーフェは“酵母”、ヴァイツェンは“小麦”を意味する。ろ過して濁りを落としたクリスタルヴァイツェンというスタイルも存在するが、ヴァイツェンというと普通ヘーフェヴァイツェンを指す。
ヴァイツェンの魅力は、濁りに伴う柔らかな口当たりもさることながら、バナナのような芳醇な香りも忘れてはならない。この香りの正体は、酵母が小麦成分を利用する際に生成する“エステル”と“フェノール”である。
エステルは大なり小なり全ての酵母種が生成する香り成分である。様々なフルーツ香に寄与するエステルとして酢酸エチルが一般的だが、特にバナナ香に寄与するのは酢酸イソアミルである。しかし、より“リアル”なバナナ香を形成するには酢酸イソアミルや他のエステルだけでは不十分で、前述のフェノールも重要な役割を果たす。
フェノールはスパイシー・スモーキーといった香調に寄与する香り成分である。これを生成する酵母種は限られており、その一種がヴァイツェン酵母である。嗜好品目線で最も有名なフェノールのひとつには、クローブに多量に含まれるオイゲノールが挙げられる。酵母が生成する4VGというフェノールは、このオイゲノールと同様の香りを持つため、ヴァイツェンにはバナナだけではなく、クローブのようなニュアンスも感じられるのだ。
以上がバナナ香についてのビール文脈的な解説であるが、別分野でも、例えば食品香料系の調香師がバナナフレーバーを構築する際にも、いかにオイゲノールを上手く使うかが肝になってくるそうだ。この話を聞いたときにはなんだか“バナナの法則”のようなものを発見した気がして、得も言われぬカタルシスを感じた。
さて、本作は今まで何度か造ったヴァイツェンのなかでも際立ってバナナ香を表現できた自信作である。これには複雑なマッシングが功を奏したと思われ、その話も書きたいがスペースがない。とにかく飲んでいただきたい。

『Hefeweizen』
Style : Hefeweizen
ABV : 5.0%

ブルワリー

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