Post Prohibition Lager / ポスト プロヒビション ラガー

CRAFT BEER BASE Brewing Lab / クラフトビアベース
スタイルラガー - Lager / ラガー
ABV5.9%
IBU8.0

4.2★★★★☆

禁酒法“以後”のアメリカのスタンダードなラガービールを目指した。原料と風味の構成が極めてシンプルで、ラガー酵母の特徴がダイレクトに感じられる。
Targeting to brew the standard lager beer after prohibition in America. You can directly perceive characteristics of lager yeasts by super simple ingredients as well as flavor.

CRAFT BEER BASEでは2023年、ビールの4大発祥国を順次特集する。6~8月のテーマはアメリカだ。醸造部からもアメリカ発祥のビアスタイルを幾つかリリースする。
今回のリリースはアメリカンラガー。代表銘柄にはバドワイザーなどが挙げられる。クラフトビール醸造所がなぜそれを?と思われるかもしれない。しかし、昨今のクラフトビアシーンでは丁寧に造られた軽く爽快なラガーが再燃している。またアメリカンラガーは当醸造所にとって製法上初の試みが多いため、是非挑戦してみたかったのだ。
アメリカンラガーでは麦芽の1/3前後が米やコーンなどの副原料に置き換えられる。この多量の副原料が同スタイルに軽快な風味をもたらしている。そして副原料にはシリアルマッシングという、デンプン糊化のための手間のかかる別工程が必要だ。なぜアメリカンラガーではそこまでして多量の副原料が使用されるようになったのか?
禁酒法(Prohibition 1920-1933)よりも前、アメリカにラガービールの製法をもたらしたのはドイツ系移民だった。当時のアメリカではドイツで使用される二条大麦よりも六条大麦がよく採れた。六条大麦でもビールを造れないことはないが、タンパク質含有量が高いため風味が重たくなる。そこで醸造家は米やコーンなどの穀物を混ぜ、全体のタンパク質量を薄めることにした。これがアメリカのラガーで副原料が使用されるきっかけだといわれる。しかし、当時は今ほど多量の副原料を用いず、ビールの風味は複雑で、アルコール度数も高かったという。これは“Pre Prohibition Lager”と呼ばれる。
そしてアメリカは禁酒法時代に突入する。10年以上も酒類の製造が途絶えたことで、レシピやノウハウは幾分忘れられた。極めつけは世界恐慌と第二次世界大戦である。原料調達の観点から、ラガーに使用される副原料の量はどんどん増え、風味も軽くなっていった。しかしこの風味がむしろ幅広い層に受け入れられ、アメリカにおけるラガーのスタンダートとなった。“Post Prohibition Lager”である。もっとも、この呼び名は一般的でないが。
さて冒頭に書いた通り、本作の醸造は初の試みだらけだった。コーンの使用とシリアルマッシング、ラガー酵母での発酵。特に発酵状態管理では泊りがけの日もあり、緊張とやりがいを感じた。糖組成と発酵度の感覚がつかめず、アルコール度数が予定より高くなってしまったが、禁酒法“直後”のラガーならありかもしれない?

Batch # 186
Brewing/Tasting Sheet
Brewing Date 2023/06/17
Release Date 2023/08/09

Post Prohibition Lager
Beer Style: American Lager
ABV: 5.9 %
OG: 1.048
IBU: 8
FG: 1.003
SRM: 2

Grain Bill:
Two Row Pilsner 70%
Corn Grits 30%
Yellow Koji Trace

Hops:
Magnum Boil ST 0.5g/L

Yeast:
Lallemand Diamond Lager Yeast

Water (ppm):
Ca 47 Mg 2 Na 15 Cl 49 SO4 51

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結構華やかでビビった

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