Cashmere : Hop Schema 035 / カシミア : ホップスキーマ 035

CRAFT BEER BASE Brewing Lab / クラフトビアベース
スタイルIPA - IPA (Indian Pale Ale) / アイピーエー
ABV7.5%
IBU40.0

0.0☆☆☆☆☆

2013年リリースのアメリカンホップ ”Casmere” をメインに使用したIPA。温州ミカンや白ブドウのような甘く瑞々しい香り。
IPA used US Cashmere hops which was released in 2013.Enjoy the fresh fruits aroma like mandarin orange or white grapes.

人が物事をそれであると認識するための知識体系を認知心理学の分野でschema(スキーマ)と呼ぶ。ある程度クラフトビールを飲んだ経験のある人なら、IPAの苦味や青々しさ、花やフルーツの香りがホップに由来するものであることを知っている。さらにIPAに精通した人なら、初めて飲むIPAから未体験の風味を感じた場合でも、何らかの連想からそれがホップに関係するものであることを推測できる。このようにIPAにはホップの姿かたちは残っていないものの、人がホップをイメージするのに十分な情報に溢れている。よってIPAはホップのスキーマといえる。
 本シリーズ“Hop Schema (HS)”では毎回異なるホップ品種を使用してIPAを醸造し、新たに得たホップ体験を飲み手と共有することをミッションとする。それは即ちホップのスキーマ拡張である。HS035で着目したホップは“Cashmere (カシミア)”だ。2013年にリリースされたアメリカンホップである。企業側情報ではレモンやライム、メロン、タイム(ハーブの一種)などの香りを持つホップとされる。HS035ではこのCashmereを麦汁煮沸終了時と発酵中(ドライホッピング)に投入した。各投入段階の役割はそれぞれ、苦味と香りのボディを造ること、トップに鮮烈なアロマを与えることである。
 テイスティング結果。グラスに鼻を近づけたときから口に入れた瞬間まで香るのは、温州ミカンや白ブドウのような甘く瑞々しい香りである。微かにミントのような爽快なハーブの香りも感じられる。その後、口中は濃厚なミカンの風味で満たされ、飲み込むと良く熟れたメロンのようなエステルが鼻を抜ける。苦味は強いがシャープな印象だ。
 今回のビアスタイルはIPAだが、以前リリースしたCashmereのアメリカンウィートも非常に良かった。白ブドウやメロンの香りはフルーティで軽やかなビアスタイルと相性がよさそうなので、軽めのセゾン等も良いだろう。一方で濃厚なミカンの香りはカラメルモルトとの相性もよさそうだ。アンバーエールはもちろん、バーレイワインも面白そうだ。想像が膨らみ、スキーマが拡張されるのを感じる。

CBB Brewing Lab
『Hop Schema 035 - Cashmere』
Style : IPA
ABV : 7.5%

ブルワリー

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