Overheated / オーバーヒーテッド

別府ブルワリー / Beppu Brewery
スタイルIPA - Double New England IPA / DNE IPA
ABV6.5%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

ホップ添加量がさらにパワーアップしたHazy Double IPA。アメリカ産ホップによる柑橘・パッションフルーツや青い草の香りが、ボディと苦さと交差します。飲みやすいけど飲みすぎないように!
今回使用したホップは、アメリカ産ホップのMosaic, Citra, Simcoe, El Dorado。同時リリースのHazy Bathsieを意識して、アメリカ産ホップのシトラス、パイニー、ダンクさのあるアロマを狙いに行きました。ただし、ホップだけのビールにならないようにモルトも工夫して3種のレイヤにオーツのスムース感を多めに足しました。
今回のHazy作りにおいて今まで行ってこなかった2種類のホッピング方法を追加しました。一つは、低温でのWhirlpool Hopping。通常Whirlpool Hoppingは煮沸直後に行われ、麦汁が沸騰していない分、苦味の抽出を抑えてホップアロマとなるエッセンシャルオイルなどの香り成分の揮発も抑えながら麦汁に溶かします。しかし、それでも温度は100℃近いのでエッセンシャルオイルの揮発はある程度仕方がないものです。一方で、今回は煮沸後に麦汁の温度を少し下げてからWhirlpool Hoppingをすることでエッセンシャルオイルを出来る限り麦汁に取り込みました。これはホップが原因となる汚染や低温によるオイルの溶けにくさの問題もありますが、衛生管理と時間管理にこだわり実現しました。
もう一つは、発酵中のDry Hopping。Dry Hoppingはタイミングごとに香りが変化して現れます。これまでは発酵後に行い、すでに出来上がったアルコールにエッセンシャルオイルを乗せることをしてきました。それによりホップのフレッシュさ、グリーンさも現れます。一方で発酵中に行うと、タンク溜まるガスを逃がすためにある程度ガスと一緒に香りが逃げますが、香り成分をイーストが取り込むことでまた異なった香りが出来ます。
今回のバッチではこれまで以上のホップを使用して、低温Whirlpool Hoppingと発酵中・後のDry Hoppingを重ねることで、ホップのキャラクターを出来る限り引き出せるようにしました。
テイスティングとしてはアメリカンホップらしいダンクさとパッションフルーツ、グレープフルーツ、オレンジのホップアロマ。クリーンなイーストキャラクターで、アルコール度数の割にはライトでドライな印象。あまり構えずとも軽々と飲める印象です。カラメルのモルトキャラクターも抜けに感じられます。
たまにブルワリー併設のレストランでお客様から「Hazyはないか」と聞かれることもあり、また「これまで作ってこなかったし、今どきそろそろ作らなきゃな」と自分でも思っていたので初めてのHazy醸造に振り切りました。恥ずかしながら個人的には自分でHazyのレシピ作成も醸造もしたことがなく、作り方は分かるけど色々考慮しないといけないことが多くてあまりやりたくないなと少し敬遠していたスタイルではあります。それは上述のホップの使用方法もありますし、他にもオーツを大量に使うことで麦汁の濾過が詰まる恐れなどもありました。しかし、これがすんなりと上手くいったので、今は相棒でもある醸造設備に感謝しかありません。
これまでやってこなかった技術を何個も導入した分、それによってこれまで自分のビールで出せていなかった部分を知ることが出来て、大変な勉強にもなりました。それに出来たビールを飲んでみたときに、正直初めてにしてはそれなりのものが出来たなとも思いました。ホップアロマが強い分、良くないところが出にくいのかもしれませんが、それなりに満足したクオリティに仕上がったと思います。
Hazy IPAは流行の中心であるだけに、多くのブルワリーで作られています。新たなホップの品種も出てきて、その目新しさや珍しいアロマなどが注目され、私たちブルワーもさらに感化されて、新作をどんどん出している状況にあります。その中で自分たち別府ブルワリーが作るHazyとはどんなものなのか、別府ブルワリーらしいHazyとは、というのを今回をもとに今後しっかりと詰めていければと思います。
ヘッドブルワーが初めて飲んだHazy IPAはSan DiegoのRock Bottomという自社製造クラフトビールを提供するレストランで飲んだ名前の覚えていないものでした(ナチョスが美味しい)。当時は「IPAの一種かな」くらいにしか思っておらず偶然飲みましたが、ホップアロマが衝撃的すぎて何回かお代わりをしたことを覚えています。サーバーの人が気を利かせて本来は通常サイズでしか提供しないビールをジョッキサイズでくれて、テンションが上がった記憶とそのあと泥酔したおぼろげな記憶があります。その後もアメリカのスーパーで12個パックで手に入るSierra NevadaのHazy Little Thingsを冷蔵庫にストックするくらいハマりました。あの時の衝撃をまた再現出来るようにHazyもたまには作ろうと思います。

Overheated | DDH Hazy Double IPA | 6.5

ブルワリー

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