Elder Twin / エルダーツイン

別府ブルワリー / Beppu Brewery
スタイルその他 - Barleywine / バーレーワイン
ABV13.0%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

濃縮されたフレーバーを楽しむバーレーワイン。濃いカラメル、カカオやコーヒーのモルトアロマに、アメリカンオークのバニラのアロマ。温度変化によるフレーバーの複雑な展開もお楽しみください。

モルトはイギリスCrisp社のMaris Otterをベースに、ベルギーGambrinus社のHoney MaltとドイツWeyermann社のCaraaromaを加えています。Maris Otterはモルトフレーバーがしっかりとしたベースモルトで通常のモルトよりも少し値がはります。Honey MaltとCaraaromaは無くても美味しいバーレーワインを作れますが、少し複雑なカラメルフレーバーを短期間で作るために含めました。使用量は1Lのビールあたりに1kgのモルトを使用しています。比較として別府ブルワリーで一番ライトなYukemuri Haze(Session Hazy Pale Ale | 3.5%)はビール1Lあたりモルト180gくらい(5倍以上!)。これだけでいかにこれまでと比較にならない量のモルトを使用しているかが伝わるかと思います。アロマホップとしてはイギリスの流れに乗りEast Kent Goldingとなっており、現代的なビールに比べて比較的おとなしめなレシピとなっています。

ハイアルコールのビール、特に10%を超えるビールを作るにはアルコール発酵のもととなる大量の糖分が必要になります。仕込みはDouble Mashという方法で通常到達できない高い糖度の麦汁を作ります。これは使用するモルトの量を半分に分け、最初の半分を通常通りMashing/糖化させ、そこで出来た麦汁を残りのモルトのMashingの仕込み水として再利用する仕込み方法です。水とモルトだけでは作り出せる麦汁の糖度は限界がありますので、それをすでに糖度のある麦汁とモルトに置き換えてさらに糖度の高い麦汁を作ることを目指します。一方で収率は少し落ちるのでコストはかかります。
また、他の方法としては通常の麦汁に糖類やモルトエクストラクトを加える方法がありますが、その場合は最終的な麦汁のフレーバーが単調になる、又は全てコントロールできないためモルトのみの麦汁を作ることにこだわりました。(ちなみによく聞くかもしれないDouble Batchとは異なります。これは1日に仕込む回数、又は1つの発酵タンクを埋めるのに必要な仕込み回数を指します。)
発酵自体は3週間ほど。イーストにとっては負荷のかかる高糖度・高アルコールとなるため通常よりも時間をかけます。そこから3カ月の期間はバルクかつ高温での熟成、その後の約半年はバルクかつ低温での熟成をしています。特にバルクで高温で熟成させるのは短期間で熟成のフレーバーを生み出すためです。4月の仕込みから12月のパッケージングまで1年の3/4を発酵タンクで過ごしたビールとなっています。
また、本バッチからは終盤にウッドチップを漬け込みました。ウッドチップはアメリカンオークとダークめに焼き付けをしたアメリカンオークを3:1のブレンドで使用。さらに消毒と香りづけもかねてバーボンに漬け込んでからタンクへ入れました。使用したバーボンはGrand Old Dadの120 Proof。使用量が多く必要になるため安価でコストを抑えながらキャラクターのしっかりと分かるバーボンにしました。

糖蜜、デーツ、ココナッツ、ラムレーズン、紹興酒のような重厚なモルトのフレーバーに、カカオ、コーヒー、小豆のライトめなロースト香、そこにアメリカンオークのバニラ、タッフィー、カラメル、ウッディさのある香りが合わさります。若干の甘さにスムースな口当たりによってアルコール感はそこまで感じませんが、一口目に喉のあたりで熱を感じます。

バーレーワインは私ヘッドブルワー神谷の好きなビールです。常にハイアルが好きなわけではなく、基本はライトなビールが好きなのですが、バーレーワインはモルトとその後の熟成の変化が楽しめるからいいですよね。さて別府ブルワリーでは湯あがりのクラフトビールというコンセプトのビールを作っていることもあり、好き勝手にハイアルビールを量産できるわけではありません。湯あがりにバーレーワイン飲みたい!という人がほとんどいないことくらい分かります。なので年に1回だけわがままで作れればいいかなと思っている一方、その分渾身のビールにしたいわけでもあります。
本当はBarrel Aging Programを持って年単位の熟成で生産出来ればいいのですが、これもまだ出来立てのブルワリーなのでそこに到達するにはもう少し時間がかかるでしょう。さらに熟成させる場所も限られているので、バルクで熟成出来る場所として発酵タンクを選びました。別府ブルワリーには現在5機の発酵タンクがありますが、この半年間はずっと1個が埋まっていたわけで繁忙期は何とかスケジュールを工夫してタンクから出さずに入れておくことが出来ました。
その間ちょこちょこテイスティングをしていましたが、最初を考えるとかなりの変化がありました。初期に思っていたフレーバーもいつの間にかどこかに行き、代わりに新しいフレーバーが出てきます。この味の変化の旅も皆さまと共有できればいいのですが、それは今後のケグ内・瓶内の熟成に期待するしかないですね。
正直なところ飛ぶように売れる商品ではないと思っているので気長に在庫を抱えるつもりです。その方がどんどんビンテージ化していきますし決して悪いことではありません。しばらくずっと在庫ありの状態が続くかと思いますが、人気ないなと思わずに、どんどんおいしくなっていくなと温かく見守ってもらえれば幸いです。
今回もバーボンバレルの設備を入れることはかなわず、ウッドチップで出来る限り再現しようとしました。次回こそはバーボンバレルも入れて仕込めればと思っています。そのために既にモルトは特別なものを確保してあり、隙あらば仕込めればと思っています。
(2024年販売のSentimental Sediment | Barleywine | 13% に加筆・修正)

Beppu Aged Beer Program: Elder Twin | Barleywine w/ American Oak | 13%

ブルワリー

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