Helles Springs / ヘレス スプリングス

別府ブルワリー / Beppu Brewery
スタイルラガー - Helles / ヘレス
ABV5.5%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

ドイツで飲まれる伝統的なヘレスラガー。前ヘッドブルワーがドイツに行って感じてきたラガーで好きだった味を別府で伝統的な製法を使用して再現。モルトのビスケット、おこげ、わたあめのようなフレーバーにホップのスパイシーさも。

モルトはドイツのWeyermann社製のExtra Pale Premium Pilsner, Munich Malt, Carapils。Extra Pale Premium Pilsnerは初めての使用ですが、通常のPilsner Maltよりも色が薄い一方で若干モルティなキャラクターがあります。Munich Maltでカラーとモルティなキャラクターを、Carapilsで泡もちを調整しました。ホップはドイツ産Tettnangerのみ。投入タイミングも伝統的なヘレスの醸造方法に習い、煮沸の中盤に一気に入れてソフトな苦味と抑えめなホップアロマを狙いました。イーストも初めてのWyeast社製2353-PC Munich Lager IIという期間限定で販売されるイーストを使用。非公式にミュンヘンのアウグスティナー品種ではと噂されている品種になります。

醸造方法にもこだわり、仕込みでは初めてのデコクション。モルトのキャラクターを出すためにマッシング(糖化)中に一部のマッシュを煮沸してから戻すことでモルトのキャラクターを引き出しながら、異なる活性温度の酵素を利用します。技術発展によりやらなくても良いと意見がある一方で、伝統に則り仕込みを行いました。

透明なライトストローカラー。モルトのビスケットのような軽い甘い香りに、少しだけホップ由来のスパイシーさとハーバル感があります。飲むとハーバルなホップキャラクターが最初に現れますが、だんだんとパン、おこげ、わたあめのようなモルトのフレーバーが感じられます。ドライでライトめなボディですが、アルコールによるちょっとしたボディも追加され、フィニッシュの苦さは少ししっかりしています。

ヘッドブルワー神谷が5月にドイツ旅行へ行った影響からシンプルでストレートなビールを久しぶりに作りました。ドイツで飲んだヘレスは、格別に美味しいことはさることながら、クラフトブルワリーが作るヘレスとかなり違うなと感じました。これまで自分がクラフトビールで飲んできたニュートラルなビールと異なり、意外にもモルトや発酵のキャラクターがしっかりとしています。自分たちがラガーを作るときにいかにそのキャラクターを殺してしまっていたのではないか、ラガーとして目指す方向性が誤っていたのではないか、と思うようになりました。
レシピを作るにあたっていかにこれらのキャラクターを強調できるかを考えました。例えばモルティさを淡色なビールでどうやって出すのか。多くの人がモルティなビールと聞くとアンバーカラーのような濃色を思い浮かべるかもしれません。淡色ビールでは若干入れるカラーのあるモルトやデコクション以外にも、ホップとのバランスがあると気が付きました。クラフトブルワリーが作るラガーは大手と差別化するためにホップで差をつけようと考えがちだと思います。また、昨今のIPAブームの影響でホップを大量に使うことに抵抗がありません。しかし、淡色ビールのモルティさとは、ホップを抑えて主張させないようにするのが大事なのかと思います。伝統的なヘレスは90分の煮沸時間のうち、開始30分で苦味の少ないホップをたくさん入れて、それ以降はホップをほとんど入れません。これによりある程度のやわらかい苦味をつけながらもホップのアロマを引き出しすぎずに済みます。煮沸直後にホップアロマを溶け込ませるワールプールホップを入れない仕込みは自分でも久しぶりでした。
それから現地のクラフトブルワリーが作るヘレスも伝統的なブルワリーが作るヘレスと比べてそこまで美味しいと感じませんでした。ここに伝統的な製法の意義を大きく感じました。何かと古い醸造技術は新しい醸造設備でやらなくてもよいとされることが多くあります。例えばマッシング温度の昇温方法も今はタンクの内壁に通る配管へ蒸気を通すことで熱を加えることで出来ますが、昔は熱いものを中に追加することでしかできませんでした。これがデコクションという技術が生まれた背景です。温めるといった視点からは同じですが昔の方法で行うことで生まれる副産物があります。デコクションでは糖化途中のマッシュを煮沸するため一部の糖分が発酵されない形で残ったり、メイラード反応で別の風味を足します。
多くの人には違いが分からないかもしれないけど、かすかな違いを生み出す伝統的な技術を、そのビールのストーリーとして伝えるのがクラフトビールの武器だと今回思いました。自分は今までアメリカのクラフトビールの文化の中で育ってきたのでドイツビールの伝統技術をある意味軽視してきた存在でした。先に書いた通り同じことが出来るならやる意味ないと感じていました。しかし、この違いが見えるようになり、ドイツでその差を目の当たりにして、伝統技術の奥深さを感じました。特にドイツの伝統的なブルワリーは、多くのことが秘密になっていたり、まねできないような独自の原料や製法を使います。そういったミステリーなところから、いかにクラフトビールが、ブルワリーが学べるかが、クラフトビールの新たな存在意義であるのではないかと思いました。
ちなみに今回目指したビールはAugustinerのEdelstofというヘレスとオクトーバーフェストビールの中間のようなアルコールとボディのラガーです。スタイルはExportbierとされ、現地ではSpezial HellやExport-, Edel-という名前で売られていました。Dortmunder Exportよりはヘレス寄りという絶妙な立ち位置です。軽やかながら満足感もあるビールかと思います。

Helles Springs | Bavarian Export Helles Lager | 5.5%

ブルワリー

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