斜塔

PASSIFIC BREWING / パシフィックブルーイング
スタイルその他 - Grisette / グリゼット
ABV3.5%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

会津若松のGiraffe General Storeとのコラボビール。
ベルギーの労働者にルーツを持つGrisetteという小麦のビールをベースに、自家栽培のハーブを数種類用いて華やかに仕上げました。また、充填時に加えた野生酵母による緩やかな発酵の変化も楽しめる1本となっています。

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点灯、残香、揺らぎ
移ろいと変遷
積み重ねる日常の塔

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会津若松のGiraffe General Store( @giraffegeneralstore )の2周年を記念したビール「斜塔」ができました。

同店はクラフトビール・ワイルドエールを中心とした酒屋でありながら、その店名が表すようにあらゆる垣根を超えた美味しい液体屋とでも表現したくなるような唯一無二の空間です。ビールの輸入業の経験を基にした知識から国内外問わず、本当にいいと思える商品のみを扱い、またビールに限らず蒸留酒などにも精通しています。
そんなバックグラウンドから、ビールと蒸留酒のブレンディングも得意とするなど、独自の表現方法を確立している稀有な存在だとも思います。

Grisetteというのは、ベルギーの炭鉱夫に好まれたビールということが一般的に語られます。農家のセゾンとの違いをよく問われますが、Grisetteは産業革命以後の登場と言われていて、いわゆる都市型工業が盛んになり、都市部に労働者が集う環境の中で(それまでの農業ベースの暮らしとは変わっていったともいえる)お店で金銭を用いて酒を飲むということが主流になっていった頃に親しまれた、というところが重要なのだと感じています。現代でいえば、ホッピーのようなお酒と近いものだったのかもしれません。

つまりGrisetteは、農村社会と都市型工業との時代の移り変わりを象徴するものであり、またその過程を遡り、追体験するというのがこのビールの醍醐味なのかもしれないと。労働者の酒に芸術を見出そうとする、僕らの矛盾。都市の日常、地方のリアル。端的な味わいだけでは語ることのできないその性質は、実にGiraffe General Storeの持つ捻れた感情と合致していると僕は感じています。

肝心のビールですが、Grisetteをベースとして自家栽培のハーブや陳皮などを用いて華やかに仕上げました。また、瓶詰め時にBrettanomycesという野生酵母を加えて緩やかな発酵を行っています。
瓶詰めから45日ほど経った段階では、ベルギー系の酵母由来の華やかさとそれを下支えするようなハーブの清涼感が主でありながら、すでに野生酵母由来のファンクな香りが見え隠れしています。フレーバーも実に豊かで、到底3.5%とは思えないしっかりとした味わいです。販売直後のタイミングではリフレッシングな印象が強いですが、向こう1年くらいは瓶内での発酵も期待できるので、更に複雑さを増していくと想像しています。

包装紙のデザインは福島を拠点に活動するWaterism( @water_is_m )のKyota Tanjiさんによるもの。胸の奥がくすぐられるような、歪でありながら精巧な雰囲気に仕上がっています。

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斜塔。その見た目は危うさか?真の強さか。
揺るがないことによる、揺らぎの表現。
日々の中にみる、時の流れと。

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【斜塔】
Style:Brett Grisette with Herb
ABV:3.5%

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Giraffe General Store / ジラフ ジェネラルストア
https://my-beers.com/bars/2130

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