NIGHT RIDER ROUTE26 / ナイトライダールート26

Derailleur Brew Works / ディレイラブリューワークス
スタイルIPA - Session IPA / セッションIPA
ABV4.5%
IBU51.0

3.9★★★☆☆

デュレイラブリューワークスの準定番。ビタリングホップで苦みのベースを築き、3種のアメリカンホップとチェコ産のホップをワールプール、DHで贅沢に使用!
ホップ投入のタイミングも相まって、Fruity・Herbal・苦味といったそれぞれのホップの特徴を濁りなく調和させた五位一体のセッションIPAです!
調和のその先には南国の花の香りが儚く香る、異国を感じさせてくれるビールです。
度数低めで飲みやすく、クラフトビール初心者にもおすすめのビールです!

「NIGHT RIDER ROUTE26」
スタイル:セッションIPA
ABV:4.5
IBU:51
SRM:5

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アスファルトに電磁輪(タイヤ)を切りつけながら、暗闇を走り抜けていく。
明日が来ることに怯えていたフリアールは、このまま何かに衝突してしまうからもしれない。ブレーキのない、上がり続けるスピードの中で。陳腐としか言えない恐怖と極度の不安の緊張感に、身を任せていた。

phantom pain

幻肢痛。14歳で失った右腕と右脚。17歳で失った初めての恋とピアノ、そしてカネダ。

フリアールが住んでいた南港(サザンポート)地区。唯一の公会堂があり、かつて父が作っていたビール。

その横にずっと鎮座していたエルカミーノ。69年式。父の生まれた年だ。骨董品にも程がある。ハンドルにはいつもメモが挟まっていて。父は、そのメモをフリアールにみせることだけを拒んでいた。

いつも助手席には座らせてくれたのに。

恋とピアノと、カネダを失ったフリアールは、ブレーキのいらない、
スピードが上がり続ける日常を選ぶことにした。

カネダが好きだって言っていた古い映画があって。そこに出てくる前時代的な人造人間がいて。
それを模して右腕の義手を作った。
T-800の焼印を入れて。
蒸気稼働装置を動力源にしたのは、もちろんカネダへの尊敬だ。
すこしの愛と。
自分の意思で失う右腕には、不思議と幻肢痛ってなくて。
フリアールの義体で、唯一神経接続の同期指数が100%を叩く部分だ。

父の残していたメモは、普通の父親が思うそんな他愛もないメモ。

フリアール、きみが20歳になったときに、
きみを運転席に座らせて、
僕は、横で、ビールを呑みながら、
きっと今以上に、ママに似て綺麗なレディになったきみを見ていたい。
それが、僕の、パパの夢だ。

普通の父親が思う、そんな他愛もないメモ。

エルカミーノの動力を5年落ちの蒸気装置に入れ替え、吸入量を制限撤廃(リミッターカット)した。
旋回性能と見た目とのトレードオフだ。全くの妥協で、ヒビの入ったゴムタイヤを電磁輪に交換する。

それだけで、ルート26で誰も追いつけない。
たったそれだけ。
あとは陳腐な恐怖に身を任せるだけ。

代理頭脳(ナビゲーション)は、政府推奨のものを入れる決まりがあるらしいのだけど、
少しばかり調整した、ガサツなお手製の相棒に。

乗り込み、ハンドルの横に、グラスをセットする。
父の好きなビールをなみなみと注ぐ。
このビールを溢さないように操作(ドライブ)する。

右脚をエルカミーノ69年式に直接接続(ダイレクトドライブ)。
ハンドルの周りに25個ある情報灯が全て点灯する。
その瞬間だけは、フリアールは、いつも、父と歩いた照り返しの夜景の街、シン・世界を思い出す。

余韻に浸る間もなく代理頭脳の起動が始まり、ステロタイプの電子合成音との挨拶を交わすのが、
彼の機嫌を損ねないための儀式。

「ねえ、エディ」
「ハイ フリアール。トビッキリ ノ ゴキゲン ノ ロック デ ツッパシロウ ゼ」

返事をしないでスピードを上げていく。
エディは自分のお気に入りのロック・ミュージックを流し始める。

phantom pain

フリアールは思う。
わたし一人では、解けない、
愛のパズル、執着心、喪失感、希望、未来、嫉妬、後悔。
全てを抱いて走り続ける。

この街は人造忽布に溢れ出してから、何かがおかしい。違和感。
先には堕落だけしかないやさしさ。
この街のやさしさに甘えていたくはない。

次の交差点(クロスロード)を曲がれば、ルート26に入る。
おそらく忽布集団(ホップヘッズ)と、彼らに操縦された機動警察たちが封鎖を狙っている頃だろう。
「エディ、そのまま突っ切るわ。最適解の侵入角を計算しておいて」
「モチロン デス フリアール 2.8 ビョウ ゴ ニ 56 ド デ シンニュウ ソレガ イチバン ロック デ・・・」

フリアールはエディの口調を真似て重ねつぶやいた。
「ロック デ ホップ」

電子合成音の笑い声が、ルート26上のネオンに消えていった。

最新のレビュー

クラフトビール好きニキ∞

3.9★★★☆☆
3年以上前

香りも苦味もボディもどれも控えめだけどしっかりと調和していて旨い。料理に合わせたい感じ。

ブルワリー

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