Lucky Number - Zweihudert Bock / ラッキーナンバー

PASSIFIC BREWING / パシフィックブルーイング
スタイルその他 - Bock / ボック
ABV8.0%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

200仕込み目を記念して醸造したBock。
およそ200年前のレシピを参考に、ビールが辿ってきた歴史を紐解くように時間をかけてつくりました。
濃厚な麦芽の風味とホップの苦味からなる、重厚さが特徴の一杯となりました。



祝200仕込み!
ビールをつくっては販売して、皆さまがどこがでそれを飲んでくれて。そんなことの繰り返しで、早いもので200回目の仕込みを迎えました。

1年におよそ100仕込みしているので、だいたい年に一度の登場となる"Lucky Number"。
100仕込み目は100にちなんで、100回ホップを投入するIPAを醸造しました。

さて、迫り来る200仕込み。200回ホップを入れるのは芸が無いなと頭を悩ませましたが200、200、200...と考えるうちに1850年頃のビールシーンが頭をよぎりました。
今年の春にいったヨーロッパの回顧録でも度々登場するこの年代。産業革命の真っ只中で、チェコのプラハでピルスナービールが誕生し、今まさに世界を席巻しようかとする頃。
ということは、その少し前、つまり1820年前後は各地でまだ黄金色のピルスナーではなく、褐色のビールがたくさん醸造されていたのでは?と。

手元にある文献を読み進めると、歴史の波に埋もれた褐色のビールの存在が次々と浮かび上がります。

そんな中、特に目に留まったのが"Salvator Beer"というスタイル。Salvatorとは救世主の意味。これは元々バイエルンの修道士達が断食期間の栄養補給のために作っていたビールです。
庶民のビールはというとアルコール2-3%程度だった時代に、7-8%の度数を誇ったとても贅沢なビールでもあります。現代ではDoppel Bockの愛称で親しまれていますね。

仕込み方法も現代の常識からするとユニークなもので、そこに意味があるのか無いのか、という疑問はさておき200仕込み目を飾るのにふさわしいのでは、と思い今回のビールつくりへと至りました。

およそ200年前の仕込みの手順書の第一項は"10℃の水で4時間のマッシング"です。少しでもビールつくりのノウハウを知る人からしたら驚きの内容ですよね。その後も3度に渡るデコクションや、長時間に及ぶ煮沸など、ざっと見積もっても仕込みに17時間を要します。これはパシフィックの一般的な仕込みの3倍に匹敵します。

入念なタイムスケジュールを作成の元、深夜24時に200kgのモルトと共に仕込みをスタート。長時間のマッシング、3度のデコクション、200分の煮沸と順に行い、大きなトラブルは無くとも結果的には20時間を超す仕込みとなりました。
そうして得た濃厚な麦汁を、敢えて選んだ、ラガー酵母の中でもルーツの古い株と共に時間をかけて発酵と熟成を行いました。

味わいですが、茶褐色の見た目で、モルトやホップからなる濃厚な香りが鼻を刺激します。
どこかモンブランを思わせるような芳醇な飲み口で、滋養強壮として生まれたビールの一端が垣間見えます。温度変化による味わいの移り変わりも面白く、時間をかけて楽しみたい仕上がりとなりました。

この長いビールの歴史、そして日々僕らのビールを飲んでいただいてる皆様への感謝の心が芽生えるような記念すべきビールとなりました。
いつも応援していただき本当にありがとうございます。300仕込み目も面白いアイデアが浮かんでいますので、お付き合いいただけましたら幸いです!

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【Lucky Number】
Style:Zweihudert Bock
ABV:8.0%

ブルワリー

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