フレッシュホップIPA / Fresh Hop IPA
サンクトガーレン / SanktGallen Breweryスタイル | IPA - IPA (Indian Pale Ale) / アイピーエー |
ABV | 6.5% |
IBU | 37.0 |
まるでホップのシャンパン
ドライな飲み口と圧倒的ホップ感
今夏、山梨県北杜市で収穫したホップを畑からビール釜へ直行。 初回のホップ投入は収穫から24時間以内。 ボディ(糖度)は極限まで削ぎ落としてドライに仕上げ、瑞々しいホップのフレーバーだけをビールに凝縮させました。
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8月1日 ホップ収穫に行ってきました
FRESH HOP IPA(フレッシュホップ アイピーエー)は、今年8月1日にスタッフが山梨県北杜市で収穫してきた、国産ホップ1号の”かいこがね”を使用したビールです。
ホップはビールの主原料で、主に香りと苦味のもとになります。花なので収穫後は枯れて腐ってしまいます。
そのため通常ビール会社が使っているのは、長期保存できるように熱乾燥したホップです。
1年中安定した品質のホップを使うために熱乾燥は欠かせませんが、その工程で香り成分が揮発することも避けられません。
でもこのビールには、何の成分も失われていない摘みたてホップをそのまま使用。とれたてホップを使ったビールは、限られた場所(ビール醸造所とホップ畑の距離が近い)、限られた時期(ホップの収穫時期)しか造れない特別なものです。
今年は暑さのためにホップの生育が早く、収穫、ビールの製造・販売が1週間程度早まっています。
「20年、誰も使ってくれなかった」かいこがねホップ
北杜市は大手メーカーとの契約により、昭和初期から50年以上も継続してホップ栽培が広く行われていました。“かいこがね”は当時市内で発見された日本の種苗登録ホップ第1号です。
甲斐(山梨)で生まれた黄金色のホップが名前の由来で、若い頃は名前の通り黄金色をしていて、成長とともに濃い緑色になります。香りは柑橘系で、欧米の柑橘系ホップと比べると金柑を思わせる"和"な雰囲気があるのが特徴です。
ところが、1993年、輸入ホップの台頭により北杜市と大手ビール会社との契約が終了。大半の農家がホップ栽培を止め、“かいこがね”も姿を消していきます。
そんな中、浅川さんは「義父が発見・改良に関わった、かいこがねの種を絶やしたくない」と畑の片隅で栽培を継続。販売のあてもなく、作っては捨て、作っては捨て…。
「契約終了から20年、誰も使ってくれなかった」とは浅川さん談。
そんな浅川さんのホップが再びビールになったのは2012年。
種を守るためにホップ栽培をしている浅川さんの話を聞いたサンクトガーレンが、毎年収穫のお手伝いをするとともに全量を買い取りビールにしています。
まるでホップのシャンパン。ドライな飲み口と圧倒的ホップ感
ホップは松ぼっくりのような形で、その1枚1枚の根元にビールの香りと苦味のもとになる黄色い粒"ルプリン"があります(写真右上)。
根元にあるルプリンを抽出されやすくするため、サンクトガーレンでは釜に投入する前にホップをむしっています。松ぼっくり状のホップを1枚1枚の葉っぱに分解するイメージです。
国産ホップのフレーバーは、海外のものに比べると繊細です。
その繊細なフレーバーを存分に引き出せるように、このビールはボディ(糖度)を極限まで落とし、ドライに仕上げています。
通常、ホップを大量に使うIPAのようなビールは糖度も高めにして、香り・苦味の強さに負けない厚みのある飲み口にします。
でも、このビールの糖度はほぼ0。
同じIPAスタイルのYOKOHAMA XPAは4前後、ゴールデンエールは3前後、“ドライ“で有名な某ビールでも1.5前後と言われるため、いかに定説を外れたビールであるかが分かるかと思います。
日本ではドライなビールというとシャープで硬い飲み口を想像する方が多いと思いますが、このビールはその逆。タンパク質の多い小麦麦芽やオーツ麦を使用し、クリーミーで柔らかな飲み口です。
大量のホップは全て、理論上ホップの苦味が抽出されない麦汁煮沸後に投入。
苦味は微かで、シトラスのようなホップフレーバーだけをビールに凝縮させました。
さらにホップニックによる2回のドライホップで、フルーティーなホップフレーバーを増し増しにしています。
糖度はほぼゼロでありながら、口に含むとホップのフレーバーから甘さを感じることが出来ます。ドライな飲み口に圧倒的ホップ感。まるで“ホップのシャンパン”のようなビールです。
< ホップニック >
ビールにホップの香りを強くつけたいとき、2次発酵中のビールにホップを漬け込む「ドライホップ」という方法が用いられます。 伝統的なドライホップの手法は、網袋に入れたホップをビールのタンクに吊り下げてビールにホップの香りが抽出されるのを静かに待つ、というものでした。 新たに導入したホップニック装置は、小さなビールタンクのような見た目で給水と排水のホースでつながっています。ホップニックの中にホップを詰め込んだら、ビールをホップニックとビールタンクの間で循環させます。ポンプでビールを動かすことで全てのビールを絶えずホップに触れさせ、従来の方法よりもホップの香りを強く引き出せるようになりました。
合計7回のホップ投入。ホップ畑をそのまま詰め込んだような香り
サンクトガーレンが北杜市のホップを使い始めたのは2012年からですが、ここ数年は安定して収穫量が増えています。
それを活用して、通常は麦汁の煮沸段階で入れるホップを、その前の麦汁をつくる糖化段階でも入れてしまう“マッシュホップ”を取り入れています。
ホップの収穫量が多いときだけ出来る、贅沢な工程です。
マッシュホップ後、醸造工程では4回のホップ投入、さらに2回のドライホップを施し、ホップ投入は通常の約2倍の計7回。
栓を開けてグラスに注ぐと、まるでホップ畑の中にいるような青々としたグラッシーな風味が広がります。
最新のレビュー
ブルワリー サンクトガーレン / SanktGallen Brewery
神奈川県厚木市金田1137-1
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