Potto / ポット

PASSIFIC BREWING / パシフィックブルーイング
スタイルポーター - Porter / ポーター
ABV2.5%
IBU-

4.1★★★★☆

低めの度数でありながら麦芽由来の香ばしいかおりや、ほのかな甘やかさも。
煮沸をしない製法により、酸味のあるパンのような味わいの、北欧の農家にルーツをもつ黒いビールです。

--------memo--------
ビールつくりの起源を辿ると紀元前4000年頃のメソポタミア文明まで遡ることができます。
諸説ありますが、当時のパンのようなものを甕に入れて保管していたところに水が入り自然の酵母が取り付くことでビールのようなものが出来上がったそうです。

その後技術の確立と、人類の大移動に伴い世界各地へと広がっていったようです。

ヨーロッパ大陸は特にビールの歴史が奥深く、現代にもつながる伝統的なビールが各地で生まれました。

現代のようにビール作りが商業化される前はビール作りは各家庭で盛んに行われていたようです。
今回は北欧の農家にルーツをもつビールの文献を発端に、同じようなビールがヨーロッパ各地で作られていたのではないかという憶測も含め、昔ながらの技法を駆使してビールをつくってみました。

ファームハウスエール、つまり農家の酒というと農家だけが作っていたように思いますが、そもそも昔はほとんどの家庭が農家のようなものだったのでしょう。
自分達の畑でできた穀類、それは大麦以外にも小麦やライ麦、果ては雑穀など色々なものがあったと思われます。
ありあわせの穀類を粗野な道具で麦芽にしてビールを作っていたようで、現代のように淡色の麦芽を作るのは難しく、濃い色の麦芽が多かったとか。
当然地域ごとで様々なビールがあったようですが、大きく分けると祭事用の贅沢なものと、水代わりに飲む日常用の質素なものがあり、前者は度数が8〜10%程度、後者は2〜4%程度のものが多かったようです。

また麦汁を煮込む大きな鍋がなかった家庭もあるようで、ありあわせの設備、例えば木製の桶や小さな鍋、時には焼き石(!)を用いてビールを作っていたようです。

パシフィックには当然麦汁を煮込むための大きな釜がありますが、今回は敢えてその釜は役目を果たさず、代わりに熱湯をマッシュに注ぎ続ける手法で仕込みをしました。

煮沸をしない製法のため、タンパク質が特によく残りモルト由来の干草のような香りがより顕著になります。
口に含むとパンのような穀物感や柔らかさがあり、特に濃色麦芽とほのかな酸味からドイツ系の黒いパンを連想させます。

このビールに関しては、はっきり言って誰もが飲んで「美味しい〜!」とはならないと思います。
ですが、食べ物との組み合わせや飲むシチュエーション次第では、他に変わるもののない存在になる気もしていて、また歴史に思いを馳せるには十分すぎるくらい、古典的なビールでもあります。

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【Potto】
Style:Swedish House Porter
ABV:2.5%

最新のレビュー

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2年弱前

ローストみしっかりありつつ酸味、軽くてライト、ちょいものたりないひともいるかもしれないけどこれはこれでうまし。

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