Abbaye Style Ale Trilogy Part 2 : estenol 003 Tripel / 修道院スタイルエール3部作その2 : エステノール 003 トリペル

CRAFT BEER BASE Brewing Lab / クラフトビアベース
スタイルその他 - Tripel / トリペル
ABV9.9%
IBU30.0

0.0☆☆☆☆☆

「estenol」は酵母由来のフルーティな香気「エステル」とスパイシーな香気「フェノール」を合わせた造語である。ベルギーで使用されるライトキャンディシュガーの代わりにブドウ糖を使用した本作は、吟醸酒のようなエステルと燻製のようなフェノールが力強く、恐ろしくキレのある仕上がりとなった。

'estenol' is coined word from fruity 'ester' and spicy 'phenol', which are fermentation by-products. Using dextorose instead of Belgian candy sugar result in strong ester like japanese ginjo sake and and smoky phenol togethr with incredibly sharp taste.

2023年12月、CRAFT BEER BASEではベルギービールの特集を行う。醸造部でもベルギー発祥の王道ビアスタイルをいくつか造ってリリースする。そのなかで修道院エール3部作を醸造した。本作『estenol 003 Tripel』はその2作目にあたる。
ベルギーでは歴史的に修道院でビール醸造が行われてきた。ビールはときに修道士の咽の渇きを潤すものであり、客人をもてなすものであり、 神にささげるものであった。彼らは用途に応じてアルコール度数の異なる数種のビールを造り分けた。今日ではそれらはアルコール度数の低い順にEnkel, Dubbel, Tripel, Quadrupel (1倍、2倍、、)と呼ばれることが多い。
アルコール度数を上げるには原材料にそれだけ多くの麦芽が必要であるが、味わいが重たくなりすぎる。そこで修道院ビールでは麦芽由来とは別の糖分を麦汁に加えてアルコールを上げることがよくなされる。
その際使用されるのがベルジャンキャンディシュガーである。これは甜菜糖をもとに加工を施し、発酵に適した糖に転化すると同時に、メイラード反応やカラメル化の進行を調節して風味や色味をつけた糖である。目指すビールの仕上がりに応じて色味の異なるキャンディシュガーが使い分けられる。今日では慣習的にDubbelにはダークカラーのものが、Tripelにはライトカラーのものが使用される (因みにこの慣習はウェストマール修道院のDubbel/Tripel の商業的ヒットを受けたといわれる)。
キャンディシュガーはベルギー国外ではあまり入手できないため、本作『estenol 003 Tripel』ではブドウ糖で代用した。いわゆるテーブルシュガーのショ糖を使用すると、酵母代謝時に生成する青リンゴ様オフフレーバーが仕上がりビールに多く残存するといわれるため、ブドウ糖が適すると考えた。
テイスティング結果。その前に本作の名称の一部「estenol」について。これは酵母が生成するフルーティな香気「エステル」とスパイシーな香気「フェノール」を合わせた造語である。仕上がりは名の通り、吟醸酒のようなエステルと、クローブや燻製のようなフェノールが高次元で調和したパワフルな香りである。口に含むと非常にキレのあるアルコール感に危うい魅力を覚える。キレの指標とも言える発酵度 (OGとFGから計算)も3部作の他のビールを大きく上回った。次回はブドウ糖ではなく本場のライトキャンディシュガーを使ってみたい。

Batch #169
Beer Style: Belgian Style Tripel
Brewing Date 2022/12/08-09
Release Date 2023/01/11

ABV: 9.9 %
IBU: 30
OG: 1.086
FG: 1.016
SRM: 5

Grain Bill:
Pilsner Malt (87%)
Melanoidine (2%)
Dextrose (11% ---After Boil)
Yellow Koji (Trace)

Hops :
Hull Melon (Boil Start 1.4g/L)
Hull Melon (After Boil 1.5g/L)

Yeast:
Lallemand Abbaye (Belgian Style Ale Yeast)

Water (ppm):
Ca 104, Mg 2, Na 15, CL77, SO4 148

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