#001 Marginal Ⅰ / マージナル 1 (KADOLABO)

伊勢角屋麦酒 / ISE KADOYA BREWERY
スタイルサワー - Sour / サワー
ABV11.0%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

緒⾔
現在のクラフトビールシーンでは、Polyfunctional Thiolという⾹り化合物が注⽬されています。Polyfunctional Thiolは⾮常に⾹り閾値の低い成分であり、微量でも⾹りを感じることができます。特に3MH、3MHA、4MMPといったフルーティなタイプのPolyfunctional Thiolは、ビールのフルーティさを強化するために使⽤されます。Hazy IPAなどのビールで、Polyfunctional Thiolの活⽤が注⽬されています。 Polyfunctional Thiolは元々ワイン醸造で研究されており、酵⺟がブドウの成分をPolyfunctional Thiolへと代謝することがあります。これにより、グレープフルーツやパッションフルーツのような⾹りを持つ特別な⽩ワインが作られることがあります。しかし、ビールではPolyfunctional Thiolにあまり注⽬されていませんでした。近年、ゲノム編集技術を使って酵⺟に外来の特性を付加することが可能になったため、Polyfunctional Thiolをビール醸造に活⽤する商品が商業的に提供されるようになりました。しかしながら、⽇本では遺伝⼦組み換え酵⺟の使⽤が制限されているため、使⽤することが出来ません。

今回のビールでは、Polyfunctional Thiolを⾼濃度で⽣産する⽅法と、サワーエールの要素を組み合わせて、ビールとワインのハイブリッドを試みました。

⽅法
まず、⻨汁をPhilly Sour酵⺟で発酵させました。Philly Sour酵⺟は通常のビール酵⺟とは異なり、Lachancea属の酵⺟であり、⼤量の乳酸を⽣産する特徴があります。この酵⺟を使⽤することで、乳酸菌を使わずにサワービールを醸造することができます。⼀次発酵後、⻨汁に⽩ブドウ果汁とワイン酵⺟を添加し、再度発酵させました。
ワイン酵⺟Sauvyは、ビール酵⺟とは異なるキラー活性を持ち、Philly Sour酵⺟を抑制し、発酵を⾏います。このキラー活性とは、他の酵⺟の成⻑を阻害する物質を分泌することにより、⾃⾝が優位な環境を作り出す特性です。さらに、ワイン酵⺟Sauvyは活性型のIRC7遺伝⼦を持っており、Polyfunctional Thiolを代謝する能⼒があります。これにより、⻨芽、ホップ、ブドウ果汁中の物質を分解し、Polyfunctional Thiolを⽣成します。特に3MHを⼤きく⽣成し、グレープフルーツやグァバのような⾹りを付加します。 約2週間かけて⽩ブドウ果汁の代謝を⾏った後、⾃然なホップのニュアンスを持つホップエキスで⾹り付けし、ビールをパッケージングしました。使⽤したホップエキスはSpectrumと呼ばれるもので、Haas社が開発したドライホップ⽤のエキスです。植物由来の成分が抑えられているため、フルーティな味わいとよくマッチしました。

#001 Marginal Ⅰ
スタイル: Subsequently Fermented Thiol-enhanced DH Sour Hybrid Ale
モルト: 2Row, Cara, Honey ホップ: Chinook, Mosaic, Eclipse Spectrum
酵⺟: Philly Sour, Sauvy
副原料: ⽩ブドウ果汁
ABV:11.0%

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KADOLABO (イセカドラボラトリー)
https://www.instagram.com/kadolabo_000_official/
これまで伊勢角屋麦酒になかった超小規模で実験的かつ挑戦的なビールを新プロジェクトKADOLABOにてご提供いたします。

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