Kiwi Kiss / キウィキス

別府ブルワリー / Beppu Brewery
スタイルサワー - Sour / サワー
ABV5.0%
IBU-

0.0☆☆☆☆☆

キウイ、ライム、バジルを使用したフルーツサワーエール。国産キウイのトロピカル感と青々しさをそれぞれスッキリとしたライムと爽快なバジルでマッチさせ、新感覚の甘酸っぱいフレーバー。

ベースとなるビールには最近新たに使い始めたハチミツの香りをつけるといわれているHoney Maltを大麦小麦に加えてあります。イーストにはキウイのフレーバーにあるバナナ感をサポートするようにバナナ香のエステルを出しヴァイツェンなどで使用されるイーストをセレクト。キウイは国産のものを約100g/L使用。すべて手作業でジューサーにかけて皮ごとピューレ状にし、一度冷凍することで果実の細胞壁を破壊し、多くのフレーバーを抽出できるようにしました。キウイと同時にライムは果皮のゼストとジュースを取り出し、バジルと一緒にジューサーにかけてから投入。

今回のサワーエールもKettle Sour仕込み。以前と同様にさらに乳酸発酵を短縮できるようになってきて乳酸発酵起因の雑味も減らせるように工夫しています。

しっかりとした濁りをしたオレンジヒュー。かぐとまずバジルのフローラル感と爽快感がありますがキウイの存在感もあります。飲んだ抜けにはキウイがメインとなり、モルティーさとライムが合わさりオレンジのような柑橘感と、後にバナナとシナモンのような香りが残り、まるでバナナブレッドのよう。しっかりとしたフルーツ由来の甘さはありますが、乳酸に加わるシャープなクエン酸の酸味と炭酸がドリンカブルな印象を与えます。

今回は次のサワーエールを計画して悩んでいるときに、アルバイトの一人からキウイを使って欲しいというリクエストをもらいスタートしたビールです。キウイといえば"Slam Jam" (Fruited Sour Ale w/ Strawberry)でも以前言及した「地味なフルーツ」かと思っています。単体では青々しさ、トロピカルフルーツのようなフレーバーに少し濃密なバナナ感がある複雑なフルーツですが、それはフルーツが甘酸っぱいから分かるもので、ビールに入れると途端に分かりにくくなる印象です。他のブルワーにヒアリングを重ねて判明した投入量も、大量に入れないとフレーバーが出ないことが分かりました。考えた結果に行きついたのが、一緒に合わせて使う食材と加工方法です。
一緒に合わせたライムはよくキウイを使ったドリンクでも一緒に見かけるためそれなりに馴染があるのではないでしょうか。しかし、調べていてバジルに出会ったときは驚きと共に、これは使いたいと思えるようなものでした。ハードサイダー/シードルやスパイスビールにバジルを合わせるのは見たことはありますが、これまで自分が飲んでバジルの存在感はあまり感じてきませんでした。しかし、今回キウイに合わせてしっかりとバジルの香りを出したときに、それが生み出すフレーバーは合わせただけではない相乗効果があったと思います。
加工に関しては全てヘッドブルワー神谷が一人で黙々と1日かけた手作業です。キウイは皮も食べることが出来るフルーツなので、ヘタを除いて40kgのキウイをジューサーにかけました。それを真空パックにして冷凍するとにかく手間がかかる加工です。
一方で大きな反省点があり、それは一部がゲル化したことと、フルーツが吸ったビールのロスです。フルーツがビールを吸うことである程度のロスが出ることは想定していました。今回はさらにペクチンという増粘剤として使用される成分をそもそも多く含むキウイから、さらに冷凍することでしっかりと抽出していまいロスがさらに拡大。
イチゴを一度冷凍することで細胞壁を壊しペクチンの抽出を容易にするというジャム作りの方法があります。てっきり自分は熱がないとゲル化しないと思っていたのですが、むしろ今回の糖度とpHがペクチンのゲル化に最適な環境であったようです。タンクからサンプルとして取り出したときには完全にスムージーサワーエールのドロドロ具合でパニックになったほどです。スムージーにするつもりはなかったのでフルーツを取り除いてさらさらの液体にしましたが、もしスムージーを作るときはある意味で参考になる情報となりました。
手間暇も多く、ロスも多いという裏を返せば、今回はプレミアムなビールです。自分はありがたく大事に試飲しました。

Kiwi Kiss | Fruited Sour Ale w/ Kiwi, Lime & Basil | 5.0%

ブルワリー

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